幕末オオカミ
「妹……」
つぶやきながら、沖田は上体を起こす。
なんだか、寝ぼけているみたい。目がとろんとしてる。
しっぽが、ふわふわとあたしの足をくすぐる。
ぴんと立っていた耳は、次第に丸くなっていくようだった。
「ど、どいてよ、兄上……」
「んぁ?」
ぺしぺしとその膝を叩くと、沖田は相変わらず寝ぼけた目でこちらを見つめ……。
ハッ!!
突然、何かに気づいたような顔をした。
そして……。
「すすすすすすす、すまねぇぇぇぇっ!!」
ずざざざざざざっ!!
みるみるうちに真っ赤になった沖田は、林の入口まで行ってしまいそうな勢いで、あたしからあとずさった…………。
──これが、あたしの運命を変える夜だった。
そうだったよね、
総司……。