幕末オオカミ
4.沖田のヒミツと重要任務
「……それで?
小娘が、お前のそのアザをこしらえたってわけか」
翌日、局長室。
土方副長が、笑いをこらえながら、そう言った。
「まさに、『かえで』のアザだな」
近藤先生の言葉に、すみに座っていた齋藤先生が、とうとう吹き出した。
笑えないのはあたしと、横に座った、沖田だけ。
沖田の左頬には、昨夜あたしが思いっきり平手打ちしたアトが、まだ残っていた。
くっきり赤い指の後が五本。
だから、『かえで』形のアザ……。
いやだって、殴るでしょ、あれは。
斉藤先生がいなければ、八つ裂きにしてやるところだった。
だって、乙女の唇を、予告もなく奪ったんだから。
この、狼男が。