幕末オオカミ
土方副長は呆れたように、あたしを見下ろして言う。
「言うわけねぇだろ。
大事な幹部の秘密を、そうベラベラしゃべるかよ」
「ぐっ……」
「何か文句あるか、ヘタレくの一」
へ、ヘタレくの一だとう!?
そ、そりゃあ、もののけや狐火を見てビビリましたよ。
でもそれはしょうがないじゃん。
虫が苦手な人もいれば、犬が苦手な人もいる。
もののけが怖い人間は、もっとたくさんいるだろうよ。
「……トシ、なるべく親切に説明してやろう」
ああ、近藤局長、あなたは神だ。
「いつから、沖……
兄上は、こんなことに……」
あたしは何故か同席している斉藤先生に、気を使いながら話す。