幕末オオカミ


土方副長は呆れたように、あたしを見下ろして言う。


「言うわけねぇだろ。
大事な幹部の秘密を、そうベラベラしゃべるかよ」


「ぐっ……」


「何か文句あるか、ヘタレくの一」



へ、ヘタレくの一だとう!?


そ、そりゃあ、もののけや狐火を見てビビリましたよ。


でもそれはしょうがないじゃん。


虫が苦手な人もいれば、犬が苦手な人もいる。


もののけが怖い人間は、もっとたくさんいるだろうよ。



「……トシ、なるべく親切に説明してやろう」



ああ、近藤局長、あなたは神だ。



「いつから、沖……
兄上は、こんなことに……」



あたしは何故か同席している斉藤先生に、気を使いながら話す。



< 112 / 490 >

この作品をシェア

pagetop