幕末オオカミ
その場を見かねたのか、近藤局長が沖田を支え起こす。
「総司、もう昔のことだ。気にするのはよせ」
「近藤先生……」
「トシだって、様々な武勇伝があるくせにな」
「ちょっ、近藤さん!」
「はは、そういうことだ。
男だったら、そんな話の一つや二つはあるさ」
近藤局長は、からからと陽気に笑った。
その太陽のような人を見ていると……。
自分が、すごく小さなことで怒っていたような気になる。
「すまないな、楓くん。怖い思いをしただろう?
こんな大男にのしかかられちゃぁな、ははは」
「は、はぁ……」
「昼間はこの通り、全く女子に話しかけられない、奥手なやつだ。
注意しなければいけないのは、夜だけ」