幕末オオカミ
3.責問いの果て
「おおおおおーい!!」
新撰組の局長とやらに会わせると言われたあたしは……。
なぜか、蔵に逆さ吊りにされていた。
無論、沖田が一人でこうしたんだ。
人払いをしてあるらしく、他には誰も来なかった。
「沖田さんよぅ!!
何も逆さに吊らなくたって、いいんじゃないかい!?」
「うるさい。だまれ」
「おろしてよー、せっかく食べた米が出ちゃうよー」
「静かにしろ!」
沖田はずいと寄ると、あたしのあごを乱暴につかんだ。
むにゅ、と頬がつぶれてタコさん状態。
しかし、逆さに見えた沖田の顔は、寸分たりとも笑っていなかった。
「お前、外にどんなやつらがいるか、しらないのか」
「はい?」
「血と女に飢えた、壬生の狼たちだ。
女が捕らえられたと聞けば、我先にと犯しにくるぞ」
そ、それは……
脅し?
真偽のほどはわからなかったけど、あたしは口をふさぐしかなくなった。
沖田は手を離し、蔵の入口に視線をやる。
するとちょうど開いた入口から、二人の男が入ってきた。
あたしはそれを、逆さまに見ていた。