幕末オオカミ


蔵の前には、意外な人が待ち受けていた。



「あれ……?藤堂先生?」



色素の薄い髪が日にさらされて、さらに赤く見える。


そんな藤堂先生が、蔵の前に立っていた。


今日も可愛いなぁ。



「おー、一(ハジメ)に楓!」


「藤堂?稽古はどうしたんだ?」


「あー……サボり?楓の様子が気になってさー」


「あたしの?」



聞き返すと、藤堂先生は気まずそうに、しかし興味深々と言う顔で笑った。



「や、ほら……昨夜総司に襲われたって聞いたからさ、心配で……」


「聞いたって、誰に?」


「え?土方さん。」



やっぱり!あの、鬼副長め!!


完全に面白がってやがる!!



「とにかく、中に入ろう」



斉藤先生にうながされ、あたしたちは蔵の中に入った。



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