幕末オオカミ
「まずは、改めて自己紹介。
俺は斉藤一。
沖田と藤堂と同年、副長助勤だ」
「へぇ、お三人は同年なんですね!
だから他の幹部より、打ち解けた感じなんだ」
「そうそう。一はめっちゃ強いんだ!」
藤堂先生が明るく言う。
土方副長が「この新撰組で一位二位を争う使い手」と言った沖田。
その沖田に負けない速さ、そして陰陽道の使い手……。
昨日の光景を思い出し、この人もまた、人を斬る時は鬼と化すのかと思うと、不思議だった。
今の斉藤先生は、そんなことを感じさせないほど、穏やかな空気を身にまとっている。
「……でさぁ、どうだったの?」
「はい?」
「はい?じゃないよぉ。
楓、総司にどこまでされたの?
どんな感じだった?」
ねぇねぇ、と藤堂先生は詰め寄る。
うーん、この人本当に女子みたい。
斉藤先生と同じで、人を斬るところが想像できない。
「ねぇねぇ~」
あまりにしつこいので、あたしは適当に返してやろうと思って、昨夜のことを思い出すことにした。