幕末オオカミ
「押し倒されて……」
「うぉお、いきなり押し倒されて!?」
「…接吻、された」
言葉に出す事で、実感が戻ってきてしまう。
のしかかってきた、厚い胸板。
熱い息吹を中に隠した、沖田の口付け。
あたしを食べようとする舌が、自分の舌に絡みついた。
そうしてるうちに、唾液が一筋漏れて……
「うあぁあぁぁぁっ!!」
思い出すと、身体が熱くなってしまう。
鼓動は不規則に胸をうち、何故か涙がにじみそうになった。
「もう聞かないで~。
思い出したくないよぉ~」
「えぇ~、そこからじゃん!
そこからどうされたの?
ねえ、総司って、接吻ウマイの!?
どうだったの、ねえってば!」
「ウマイかどうかなんて、わかんないよぉ!
だって、だって、あたし、初めてだったんだもん……」
「えぇっ!!」
そこで初めて、藤堂先生はだまった。
というか、後からその口を押さえた斉藤先生に、黙らされたんだ。