幕末オオカミ


「──────っ!!」


「すきあり」



一瞬、しかもほんの少しだけ触れただけの接吻のあと。


平助くんは、にやりといたずらっこの顔で笑った。



「てっめ、何しやがる!!」


「いいじゃん、もう初めてじゃないんだし?」


「バカバカバカ、返せっ、今の一回、返せっ!!」


「え?返していいの?
もっかいしてって、おねだり?」



いつの間にか手首をつかまれ、ずいと、その可愛い顔がよってくる。



「やっ…………」



あたしは何故か、顔を背けるしかできない。



「……ごめん、いじめすぎちゃった。
楓って、押しに弱いんだね」



平助くんはすまなそうに、手を離す。


胸の中では、心臓がうるさいほど、脈打っていた。



「ごめんね?俺、意外と負けず嫌いだから。
総司に奪われっぱなしってのは、我慢できなくて」


「はぁ……?」


な、なに言ってるんだろう……。



「まぁ兄だから、アイツは除外するとして。
他の男にも、奪われたくないんだよね」


「って……?」





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