幕末オオカミ
なに?
と、二人の大人はあたしの顔をのぞきこんだ。
まだ口についていた米粒を見て、不思議そうに首をかしげる。
「どこの一族を抜けた?」
「……岡崎一族」
仕方なく、素直に白状する。
岡崎の村は、あたしの故郷だ。
もう二度と、戻れないけど。
「岡崎?嘘だろう。
あの一族は、裏切り者は絶対に許さない。
本当だったら、今頃死んでるはずだ」
土方が呆れた顔で言う。
うう……信じてもらえない……。
「娘、本当の事を言え。総司、水を」
「はい」
えっ!
どこから持ってきたのか、沖田は水が張られた大きな水がめを、ドンとあたしの下に置いた。
そして、逆さづりにしていた縄をにぎり……。
ゆるめた。
ゴボッ。
突然のことだった。
視界が歪み、息が出来なくなった。