幕末オオカミ
事の発端は、数日前……。
季節はすっかり、秋。
9月半ば(現暦10月)の風が、まだ完全に赤くなっていない木の葉を、揺らしはじめたころのこと……。
あたしは、沖田の監視のために、一番隊についてまわっていた。
といっても、本当についてまわるだけだから、正直暇をもてあましてた。
沖田も運良く、狼化することもなかったし……。
そんなある日、あたしは局長室に呼ばれた。
部屋には、局長のほかに、土方副長、山崎監察、斉藤先生、そして沖田がいた。