幕末オオカミ
そうかもしれない……。
ただでさえ、壬生村に突如やってきた田舎者の集団を、京の人たちは「壬生狼(みぶろ)」と呼んで蔑んでいる。
あたしはそれを、沖田の巡察についていって、肌で感じていた。
新撰組は、嫌われ者だ。
そんなところに、芹沢局長と新見副長のもののけ姿を見られたら……
もっともっと、ここの評判は落ちてしまう。
それをきっかけに、会津様に見放されてしまったら。
新撰組解散も……ありえる。
「だから、な。
あの人たちからもののけを追い出す手段がないかと考えているんだ。
しかし、情報が少なすぎる。
斉藤くんがはりつけば、すぐに感づかれてしまうだろうし」
「はい……」
「すまないが、よろしく頼むよ」