幕末オオカミ
「……恋仲になったとか、そういうことじゃないのか」
「ないない。軽くチュッとされただけ」
「はぁ!?」
あ、口が滑った。
沖田は切れ長の目を見開き、マヌケに口を開けた。
「な、なんで、」
「……からかわれたんだと思うけど?
平助くん、あたしをからかってばかりだから」
「あいつ、信じられねぇ……
恋仲でもないのに、そんなことを……」
「……恋仲でもないのに、舌まで入れたあんたよりマシじゃない?」
「思い出させるなっ!!」
沖田は「一生の不覚!!」と、頭を抱えてしまった。
だから、なんなのよ……
「で?まさか、そんなことを聞くために、ここにいるわけじゃないでしょ?」
「そ、そうだった」
沖田はなんとか自分を取り戻し、袖の中から手紙のようなものを取り出した。
「山南さんからだ。
今日の稽古番だったから、会えないかわりに渡してほしいって」
「山南先生が?」
沖田から受け取ったそれを広げる。
すると、そこには几帳面な字で表が書かれていた。