幕末オオカミ
そして、容赦なく。
何度も何度も、あたしは水に落とされた。
息が耐える直前、引き上げられる。
それを繰り返された。
もう、限界か……。
頭に血は昇るし、息はできないし。
あーあ、こんなことなら大奥から出なきゃ良かったかな。
でも……
ああやって、飼い犬みたいな暮らしを一生させられるよりは、ましか……。
はかなかったな、あたしの人生。
そう思うとばかばかしくて、ふと笑ってしまった。
その時。
「そのくらいにしておけ」
そんな、優しい声がかかった。