幕末オオカミ
沖田はあたしから、表を奪った。
そして、山南先生の伝言を見つけると、脱力した。
「山南さん、余計な事を……」
「ねえ、沖田」
「あーあー、しらねぇな。
山南さんの憶測でこんなこと書いたんじゃねぇか?
誰がお前の心配なんぞするか」
どうにかしてよ、この天邪鬼……。
顔が赤いってば。
ごまかしが下手すぎるよ。
「……沖田、ありがとね?」
一応そう言っておく。
すると沖田は、「何のことだか」と、悪態をついた。
「……なんで俺は『沖田』で、平助は『平助くん』なんだよ」
「え?なに?」
「なんでもねぇ」
もー、低い声でぼそぼそ言うなよ。
聞こえないじゃんか。
「……じゃあ、準備して、行くね」
土方副長との待ち合わせまでに、荷物をまとめなきゃ。
すぐとりに来れるっちゃ来れるけど、あまり出入りしてたら芹沢に疑われちゃうしね。