幕末オオカミ
「──沖田総司、参る!!」
あたしの背後から高く跳んだ、その声の主は……
芹沢の後にいた浪士を、頭の上から真っ二つに斬り裂く!!
首の骨で止まった剣を抜くと、浪士の身体は倒れ、地面が血に染まった。
「おう、おう……」
芹沢は慌てて、尻尾を隠す。
沖田はそれを見て見ぬふりをし、懐紙で刀身の血を拭った。
浪士は、今の相手で最後だったんだ。
一人残らず絶命し、その場にゴロゴロと転がっていた。
「お怪我は、芹沢先生」
完全にしっぽが隠れたころを見計らって、沖田が芹沢に声をかける。
「おう、なんじゃ、お前なぞおらんでも、わしが一人でやってやったものを」
「そうですか。
偶然お見かけしたもので。
失礼しました」