幕末オオカミ
沖田はさらりと言い、あたしに手を差し伸べた。
「娘さんも、お怪我はありませんか?」
「……!!」
演技だろうけど!!演技だろうけど!!
片膝ついて首を傾げるのは反則だろう!!
お前、そんなことする男かよっ!?
あわあわしていると、芹沢がいつもの調子に戻って言う。
「真っ赤になっておるわ。
やはり沖田はモテるのう」
「はは、何をおっしゃいますやら。
芹沢先生、俺は屯所へひとっ走りして、この子を土方さんに預けてきます。
今のがよほど衝撃的だったんでしょう。
可哀想に、口がきけないでいる」
「おお、そうじゃの。悪かったのう。
ついでに奉行所へ寄って、後処理を頼んでくれぬか」
「御意」
沖田はそう言うと、無理やりあたしを抱き起こした。