幕末オオカミ
あたし本当に、赤くなんてなってる?
っていうか、この血の海でそんなのん気な話が出来るなんて、やっぱり新撰組のやつらは、どっかおかしいよ。
「歩けるか」
低い声が、芹沢に聞こえないように、いつもの口調で語りかける。
「当たり前だ!」
あたしはハッとして、無意識につかんでいた沖田の着物を離した。
芹沢、絶対こいつに騙されてる。
けど、なんでだろう。
さっきのは、ちょっとどころじゃなく、ドキドキしてしまった……。
いや!!
断じて、ときめいたりしてないからね!?
突然乱闘があって、たくさん人が死んだりしたからだもん。
あたしは未だ不規則に鳴る胸を押さえて、必死で沖田の歩幅についていった。