幕末オオカミ
「どうする、新見さん。
こちらは俺達に、あのへっぽこくの一までいるんだぜ」
「それがどうした」
「アンタが敵うわけねぇだろ。
痛い目見る前に、大人しく自白して、縄につけ」
「おのれ土方……後悔するな!!」
バカにされて怒った新見は、刀を抜く。
その体の周りから、黒い妖気が糸を引いて見えるようだった。
「……もののけの力をどうやって身につけたのか、それだけでもしゃべれよ。
早くしねぇと、うちの沖田が黙ってねぇぜ」
悠々と言う土方の後では、沖田が全身に殺気を漂わせている。
しかし無謀にも、新見は土方副長に斬りかかる!!
「土方ぁぁぁぁっ!!」
ぶん、とすごい勢いで刀が振り下ろされる。
しかし土方副長は、それに斬られることはなかった。
いつの間に抜いたのか、自分の刀で、その凶刃を受け止めていた。
見えなかった……副長、すごい!!
「しょうが、ねぇなあ……」
土方副長の低い声がする。
二人の副長の剣がこすれあい、削れるような、ぎりぎりという嫌な音までした。