幕末オオカミ


「話を聞くまでは殺せねぇけど、これぐらいはいいだろっ!!」



土方副長は一度刀を弾く。


よろめいた新見に、一太刀……。


目にも見えない速さで、足の腱を切り裂く!



「ぎゃぁぁっ!!」



新見は苦痛に顔を歪ませ、壁にドン、と背中をつけた。



「総司!!やっちまえ!!殺すんじゃねぇぞ!!」


「承知」



沖田はそう言うと、突然部屋の窓を開けた。


そこから見える空から、月光が差し込む。


そう。


月が……あたしたちを、見てる。



沖田は、新見と同じように……。


その体を軋ませながら、一度見た人狼の姿へと、自ら変わっていった。



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