幕末オオカミ
沖田の叫びは、あたしの心の叫びでもあった。
「平助くん!いつあたしがアンタの嫁になるって言った?」
「え、嫌?」
「嫌って言うか、あたし達、恋仲でもないでしょうよ!」
順番ふっとばしすぎだって!
っていうか、完全にあたしの気持ちは無視かい!
「そっかー。じゃ、恋仲になろうよ」
平助くんは、ふわりと可愛い顔をあたしに近づける。
「平助っ!」
呆気にとられているあたしの唇に、平助くんが触れそうになった瞬間……
そのおでこを、沖田がべちっと叩いた。
「おおお、俺の妹に、手ぇ出すんじゃねぇ!!」
「えー?お兄ちゃん、認めてよー」
平助くんは涙目で沖田に訴える。
「だれがお兄ちゃんだ!早く行くぞ!」
沖田はなぜか赤い顔で、あたしの手を引く。
「あーだめーっ、楓は俺が連れていくのっ!」
空いた手を、平助くんが引っ張る。