幕末オオカミ


「幹部が全員屯所を留守にしていたら、誰かが不審に思うだろうが。

お前達は、もしもの場合に備えて、局長の周りを固めろ」


「ちぇっ、はーい」



しぶしぶながら、平助くんが返事をした。


土方副長は着々と、段取りを整えていく。



「決行は、明晩。新見の追悼会を行う。

その後、八木邸に帰って寝静まった頃、侵入する」



そんな……!


それじゃ、芹沢と一緒にいるお梅さんは……?


芹沢は、お梅さんさえいればそれでいいと、そう言ってたのに……



「いっ……!」



沖田の低い悲鳴に、全員が驚いてこっちを向いた。


それもそのはず、あたしが沖田の手を噛んで、口を解放させたからだ。



「局長、局長はそれでいいんですかっ?

芹沢とお梅さんには情けをかけてやってもいいんじゃないでしょうかっ?」


「楓くん……」


「あたしがしてきた仕事、無駄にしないで……!」



お梅さんのために武士をやめて、一日でも長く生きて、そばにいたい。


芹沢は、そう思ってるんだよ……?


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