幕末オオカミ


「そんな切ない目をしおって……さては沖田に惚れたな?」


「……は、はぃぃぃぃ!?」


「よいよい、隠さずとも。

それで……二人はどこまで進んだのかのう……」


「ど、どこにも進んでませんっ!!

お、沖田先生は、叔父上に言われて、送ってくれただけです!!」


「なんじゃ、つまらんのう」



芹沢は、鉄扇で顔を扇ぎながらガハハと笑った。


秋でも暑いなら、ちょっと痩せたらどうだろう……。



「……では、失礼いたします」


「おお。あ、のう、土方の姪っ子よ」


「はい?」


「いや……なんでもない」



芹沢は何かを言いかけて、くるりと背を向けて行ってしまった。





そして…………




その夜はすぐに、やってきた。






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