幕末オオカミ




芹沢は……気づいている。


自分が、命を狙われていることを。



だから、今夜だけは、お梅さんを抱きたかったんだ……。





ごめん。



ごめんなさい。



何もできなくて……





ごめんなさい。




頭の中で、色んな人の顔がぐるぐると回った。



幹部の皆。



沖田のしかめっ面。



近藤先生の、悲しい顔。



そうだ。


あたしは、近藤先生のために働くんだ。


決して、あの鬼副長のためじゃない。



情けをかけてくれた、近藤先生のためだ。




あたしは目元をこすると、その場を後にした。




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