幕末オオカミ
「一度も上様のお手つきにならなかった悔しさが、わかるか!?
上様があたしを大事にしてくれたなら、耐えられたかもしれない。
でも実際は、無視されつづけるばかりで……
永遠の孤独の中で、大奥のババアどもにいじめられ続ける苦しみが、男にわかるかっ!!」
「…………」
「誰にも必要とされない。
帰る所もない。
頼る人もいない。
そんな悲しみが、お前達にわかるか……」
一度すべってしまった口は、残らず真実を吐き出してしまった。
ずっと我慢してきた涙が、もともと濡れていた頬をさらに濡らした。
本当は……
誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
あたしは、ぽかんとしているバカ男三人の顔を見て、妙にすっきりした気持ちになった。
「もういいっ。殺すなら、殺せ!
城に突き出すなり、好きにしろ!」
涙をふいて、床にあぐらをかいた。
すると、近藤はそんなあたしを……
突然、抱きしめた。
「ぎゃああああ!!何をするっ!!」
「な、なんて……
つらかったなあ、怖かっただろうなあ。
おお、よしよし」
「はあぁ!?」