幕末オオカミ



「どうしたの……?」


「……終わった……」



終わった。


それは……芹沢の死を、意味していた。


途端に胸が苦しくなる。


苦しまずに逝けたんだろうか。


お梅さんはどうなったんだろうか。



「……そう……入って。
濡れちゃってるよ?」



とにかくあたしは、沖田を中に招きいれ、鍵を閉めた。



「てぬぐい、てぬぐい……」



こんな時期に濡れたままじゃ、いくらバカでも風邪ひいちゃう。


てぬぐいを探していると、突然、両腕の自由が利かなくなった。



「え……!?」



自分の肩から、無駄に長い手が二本見えて。


あたしはようやく、沖田に後から抱きしめられている事に気づいた。








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