幕末オオカミ
温まっていくはずの背中は、雨に濡れた沖田のせいで、どんどん湿っていく。
それでも、あたしの体は、血が沸騰したように、たちまち熱くなってしまった。
あたしを抱きしめた沖田の手からは、血のにおいが、した。
「沖田……?」
「楓……」
低い声が耳元にかかり、力が抜けていく。
肩甲骨に、沖田の心臓の鼓動が響いた。
「どうしたの……?ねえ、沖田……」
「俺、……」
「うん?」
「いつか、同じように殺されるのかもしれない……」
そう言った沖田の声は、悲しく、震えていた。
泣いているようにも思えた。
「……俺も、もののけだから……」
「沖田……」
「それで隊に迷惑かけたら、土方さんに、殺される…………」