幕末オオカミ
「あ……そうだ、一つだけ良い報告がある」
沖田は突然、気づいたように口を開いた。
あたしは体を離される。
沖田の顔は、だいぶいつもの色を取り戻していた。
「何?」
「内緒だぞ。芹沢が、お梅を助けた」
「えっ!?」
「尼寺に行かせたんだと」
あたしが行ってから、沖田たちが到着するまで、そんなに時間はなかったはず。
芹沢は、やはりどこかで覚悟していて……そんな段取りを考えてたんだ。
愛する人を、そうやって、守ったんだ。
「何だよ、あのタヌキ……やるじゃん」
「なぁ……不覚にも、感動しちまった」
「そうか……お梅さん、生きてるのか……」
胸に込み上げるものをどうしていいかわからず、ぎゅう、と沖田に抱きついた。
「な、おい」
「嬉しい……
ねぇ、殺さずにすんで、良かったよね……」
「…………」