幕末オオカミ
あれ……?
沖田の表情が、みるみる曇っていく。
いや、違う……曇ってるんじゃなくて。
何、その真剣な目。
そんなの、見たことないんだけど……
「……楓」
「は、はいっ」
「……下の名で呼んでみてくれないか?」
「は……?
えと、そ、そそ、総司……?」
「…………やっぱやめろ。恥ずかしい」
「何よ、アンタが呼べって言ったんじゃん!!」
こっちが恥ずかしいわ!!
なんなのよ、もう……
顔を背けようとした瞬間。
沖田の濡れた前髪が近づいて、あたしの頬にぽたぽたと雫を落とした。
「…………嫌なら、よけろ」