幕末オオカミ
1.追手
「ぐわうっ!!」
「総司っ、伏せっ!!」
──今夜は、月夜──
あたしは総司に向かって、お札を放つ。
お札は総司のオデコにピッタリ張り付いた!
「ぎゃわんっ」
総司は地に伏せ、そのまま狼の耳としっぽは消えていった。
そう……
冬になって、あたしの霊力は狼化した総司を制止できるまでになっていた。
それもこれも、全部斉藤先生のおかげだ。
最初にもらった護符を肌身離さず持ち、『あの日』から暇さえあれば修行に励んだ。
そう。
あたしが総司の暴走を止めてやるんだと約束した、あの雨の日から。