幕末オオカミ
芹沢派が粛清されてから、新撰組はやっと、京の警備任務に専念することができるようになった。
近藤先生は唯一の局長に。
土方副長はそのまま副長。
山南先生は総長という肩書きになった。
副長助勤の顔ぶれは変わらない。
しかし、あたしには少しの変化があった。
なんと!!
芹沢の件がおさまってから、あたしは監察として、正式に隊士名簿に名前が載るようになったんだ!
しかも、袴着用……つまり男装なら、屯所内を自由に歩き回ってもいいって許可が出た。
これで、コソコソしないで済む。
「いつまでも蔵の中じゃ可哀想じゃないかっ!
トシのバカっ!鬼っ!」
と、近藤局長が鬼副長を説得してくれたらしい。
「つったって、極秘任務に就かせる監察が、そのへんウロウロするわけにいかねえだろ。
山崎だって、隊士に顔バレしてねぇってのに」
「そ、それじゃ……
無闇に屯所の外を歩かない。
任務の場合は忍装束、または変装!
それでいいだろっ?」
と、そんな会話があったんだそうな……。
土方副長は、「近藤さんは女に甘い」とぼやいていたらしい。
全ては、総司からの情報だった。