幕末オオカミ
今時こんな武器を使うのは、忍以外にありえない。
あたしと斉藤先生は、次の攻撃を危惧しながら、相手の居所を探る。
「……そこか!」
突然斉藤先生が脇差を抜き、それを傍にあった高い木の枝に投げつける。
ギイン!
「……なかなかやるね。
まさか、こんな奴らと一緒にいるなんて。
意外だなぁ……」
木からぽとりと落ちてきたのは。
跳ね返された脇差と、聞き覚えのある声──
「……陽炎(カゲロウ)……!?」
「久しぶりだね、楓」
すた、と軽やかに木から下りてきたのは。
銀色の髪に紫の目を持つ、忍装束の男。
古い古い、昔の友人だった。