幕末オオカミ
胸に、ざわりと波が立った。
どういうこと……?
「叔父上に聞かなかった?」
「何を……陽炎、どういうことなの」
「あー、やっちったー。
俺、忍のくせに喋りすぎだねっ」
陽炎は質問に答えず、てへっと舌を出して見せた。
「んー……しょうがないなー。
楓は友達だから、特別に3日、猶予をあげる。
三日後の夜、返事を聞きに行くからね。
その時、今と気持ちが変わらなかったら……俺と戦う準備をしておきなよ」
「ちょっ、待ち……」
「じゃあね!」
ボン、という突然の破裂音。
とっさに斉藤先生が引き寄せてくれた時には、目の前に白煙がもくもくと立ち上っていた。
「待て!」
斉藤先生が刀を抜く。
しかし既に、陽炎の姿はどこにもなくなっていた。