幕末オオカミ
2.罪人
屯所に帰ったあたしを、斉藤先生は局長室まで連行した。
「いったい、どういうことです」
いつもは穏やかな斉藤先生の声が、冷たくなっていた。
局長と副長はいきさつを聞いて、眉をしかめる。
「同志に隠し事とは、あんまりじゃないですか。
洗いざらい、喋ってもらいましょうか」
斉藤先生が怒っているのは、間違いなく陽炎の揺さぶりが効いたからだ。
あたしを差し出さなければ、新撰組が巻き添えを食う……
上様の一声で、幹部は全員切腹だ。
「……小娘、総司と……他の幹部も呼んで来い」
「は、はい……」
「逃げんじゃねぇぞ」
土方副長はそう言うと、あたしを一旦部屋から出した。
あたしは急いで、屯所にいた幹部全員を呼んで回った。