幕末オオカミ
「岡崎一族って、真実だったのか。
あの一族は手練ればかりと聞くから、てっきり冗談かと思っていた」
「冗談じゃないですよ。
純血じゃないから銀髪も紫の目もありませんけど、あたしは本当に岡崎一族出身なんです」
それを聞いて、土方副長はフンと鼻を鳴らした。
「楓くんがここにいるのは、私がそうしろと言ったからだ」
近藤局長がやっと口を開いた。
「……ちょっと待ってください。
じゃあ私たちは罪人を匿っているわけですか?」
そうためらいがちに言ったのは、山南先生だった。
罪人……
その言葉が、胸に重くのしかかる。
確かに、どんなに被害者ぶったって、あたしが上様を裏切った罪人であることは疑いようもない……
「……どうしてそんな重要な事を隠していたんです」
斉藤先生が信じられないと言った目で、局長と副長をにらんだ。
「……すまん。私の一存で入隊させたんだ。
楓くんなら、総司の目付にぴったりだと思ったんだ」