幕末オオカミ


部屋に、重い沈黙が落ちる。


全員、何を言って良いかわからないようだった。



「……じゃあ、俺が責任をとる」



沈黙を破ったのは、総司だった。



「俺のせいだ。

俺がうっかり人狼の姿を見せちまったから、楓はますます隊を抜けられなくなった。

ここまで引っ張ったのは、俺の責任だから」


「総司……」


「だから、責任をとって、嫁にもらう」



………………え?


はいぃぃぃぃぃ!?



「ちょっと、総司!!?」


「もらったことにして、隊を抜けさせる。

それで、どこか家を探して、住まわせる。

俺が養えばいいですよね、土方さん」


「な、なん、な……」



突然何を言ってるんだ!?


しかもそんな、真剣な顔で……


脳の命令を無視して、心臓がバクバク躍る。



「嫁にもらったことにする、か。
悪くはねえが、それでは甘いな」



土方副長は冷静に言った。


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