幕末オオカミ


「いいか、『局を脱するを許さず』。
小娘、よく覚えておけ」


「はい……」


「それから、総司に平助」


「はい?」


「私(わたくし)の闘争を許さず。
意味はわかるな?
隊士どうしでもめんじゃねぇってことだ。

小娘を取り合って斬り合いにでもなってみろ。
そんときゃ俺が、お前ら二人とも切腹にしてやるからな」


「えっ!!」


「はぁぁ!?」



平助くんと総司が立ち上がって、土方副長をにらんだ。



「土方さん、こんな時に冗談はやめてください!」


「総司と斬り合いなんてしませんよ!」


「そうか。俺の考えすぎならそれでいいけどよ」



ふふん、と土方副長は心底意地の悪い顔で笑った。







< 258 / 490 >

この作品をシェア

pagetop