幕末オオカミ
「いいか、『局を脱するを許さず』。
小娘、よく覚えておけ」
「はい……」
「それから、総司に平助」
「はい?」
「私(わたくし)の闘争を許さず。
意味はわかるな?
隊士どうしでもめんじゃねぇってことだ。
小娘を取り合って斬り合いにでもなってみろ。
そんときゃ俺が、お前ら二人とも切腹にしてやるからな」
「えっ!!」
「はぁぁ!?」
平助くんと総司が立ち上がって、土方副長をにらんだ。
「土方さん、こんな時に冗談はやめてください!」
「総司と斬り合いなんてしませんよ!」
「そうか。俺の考えすぎならそれでいいけどよ」
ふふん、と土方副長は心底意地の悪い顔で笑った。