幕末オオカミ
平助くんは冗談ばかりだし。
総司だって絶対、あたしのために仲間を傷つけるなんてしない。
あたしなんて、それほど価値はない。
「……なんだよ」
「えっ」
気づけば、総司の横顔をにらんでいたみたいだ。
彼は切れ長の目でこちらをにらみかえした。
「や、あの、ほら、嫁にする発言?
あれにはビックリしたなーって……」
「あ?あぁ……」
「そうだよね、作戦なんだよね。
あたしなんかがさつだし、可愛くもないもんね」
作り笑いをすると、総司は微妙な表情で返す。
「……俺はそう思わない」
「え……っ」
「本当に、責任を感じてるんだ。
お前さえよけりゃ、俺から土方さんに祝言できるように頼んでやる」