幕末オオカミ
「なんで?
近藤局長はいいって……」
「近藤先生は、無類のお人よし、そして無類の子供好きだ。
お前のような子供が痛めつけられるのを、見ていられなかったんだろう」
子供だとう!?
沖田のものの言い方は乱暴で、いちいち腹が立つ。
「子供じゃない!あたしはもう十七だ!」
「は?嘘つけ、やっと十五というところだろう」
「違う!なら何か?上様はお稚児趣味だとでもいうのか?
あたしが奥に入ったのは、ちゃんと十五になってからだ」
「…………」
沖田は信じられないと言うように、あたしを頭の上からつま先まで、じろりと見つめた。
いや、そりゃあ背は小さいよ?
でも、それは身軽という意味で、忍にとっては利点だし。
しかし、この男にはそんなことわかりそうにない。
「とにかく。お子様に隊務をこなすのは、無理だ。
土方さんが何で俺たち二人にしたと思う?
近藤さんの頭を冷やし、その間にお前を追い出すためだ」
「なんだとー!!」