幕末オオカミ
4.帰らない
それからすぐに、陽炎との約束の日は来てしまった。
屯所中に、緊張感が走る。
そんな中、一枚の手紙があたしによこされた。
それは陽炎からのものだった。
返事は、外で聞きたいと……。
指定された場所は、誰も近づかないような、廃寺だった。
「なるほどな。
隊士全員に返り討ちにされたんじゃ、たまらねぇってことか」
手紙を見た副長は、ふんと鼻を鳴らした。
「まぁ、こちらもそれでいい。
さすがに屯所でドンパチやらかせねぇしな」
「どうしましょう……やっぱりあたし、ひとりで」
「何でそうなる、バカ小娘。
何人か一緒に行くに決まってんだろ」
「はいっ!!」
と、幹部が集まる部屋で勢いよく手を上げたのは……
「近藤さん……アンタを行かすわけねえだろっ!!」
優しい局長は怒られて、しゅるしゅると小さくなってしまいました……。
「まず総司。あと平助、斉藤。
それくらいか」
「トシ、原田くんと永倉くんもつけてやってくれよぉ」
「あのなあ。本当に相手が一人かわかんねえだろ。
もし隊士が人質に取られるようなことがあったらどうする。
屯所の守りも固めておくべきだ」
「うっ……」
どっちが局長なんだろう……。
たまに忘れそうになるな……。