幕末オオカミ
「そうだな、何かあった時のことがあるもんな」
うん、この優しさが近藤局長のいいところなんだけど。
皆がほっこりしていると、土方副長が突如、信じられない事を口走った。
「心配するな、近藤さん。
俺も行ってやるから」
「おぉ、トシっ!!」
「えぇっ!?」
「何だ小娘、不満なのか」
「いえ、意外なので驚いて……」
副長はまた、意地悪く「ふん」と言った。
いったい、どういう風の吹き回しだろう。
副長の真意はわからないまま、とにかく約束の場所へ、それぞれ別に向かうことになった。
指定されたのは、夜……。
それまでは、普通に隊務につくように命じられた。
胸が、ざわついて落ち着かない。
緊張で、胃が痛い。
これだけの達人がそろったんだもん。
陽炎も驚いて帰ってくれるといい。
そう願いながら、監察方の事務仕事をして……。
気づけば、日が傾きかけていた。