幕末オオカミ
「お前がどう思っていようが、俺はお前を離す気はないから。」
……?
幻聴かと思った。
あまりに低いその声は、注意しなきゃ聞こえないほど小さくて……。
「脱走したら、絶対捕まえてやる。
むしろそうならないように、できるだけ見張っててやる。
だから、もう無茶な事考えるんじゃねぇぞ」
これは、独り言じゃないよね?
あたしに、言ってるんだよね?
「そばにいるから」
ぽつりと落ちた、一言。
…………不覚にも。
あたしは、泣きそうになってしまった。
きっと、屏風の向こうの総司も、あたしには見せたくないような顔をしてるんだろう。
「うん……」
ねえ、総司。
ちょっとは期待してもいいってことかな?
あたし、新撰組にいてもいいんだよね?
そばにいても、いいんだよね?
これからも……ずっと。