幕末オオカミ
「だーかーらっ!俺は女が嫌いなんだ!」
「へぇ……」
苦手なんだ。
慣れてない。怖いんだ。
そう、顔に書いてあった。
なんだ、こんなでかい図体で女も知らない(と、勝手に決めた)のか。
残念な男だなー。
人のこと言えないけど。
「ま、何でもいいよ。
今日からよろしく、ええと……お兄ちゃん♪」
ずる。
沖田は、大きな身体でコケそこなった。
「誰が……『お兄ちゃん』だ……」
怒りで震えながら、低い声でうなる。
「あんただよ。
あたしのお兄ちゃん役でしょ?」
「……もう少し、ましな呼び名はないか」
「……あにさま……あにうえ?」
「……それなら、まぁ……」
「はい、兄上!」
えへっ。
可愛い子ぶって笑うと、沖田はまた、あとずさった。