幕末オオカミ
あたしはあっという間に、他の三人に守られる形になった。
「やべえな、総司……
いくら速くても、あの火の玉に肉弾戦で挑むのは不利だ」
平助くんのこめかみに、一筋汗が流れる。
「いや、わからねぇぜ」
土方副長は、そう言い放った。
「見ろ」
斉藤先生が、二人の方を指さした。
そこには、既に陽炎の目前まで迫った総司がいた。
「ぐわうっ!!」
総司は鋭い爪で、陽炎の喉を狙う!
「バケモノがっ!」
陽炎はその爪を、炎をまとった手で避けた。
熱さなんか感じないのか、総司は避けられても避けられても、陽炎に爪を繰り出す。
「鬱陶しい!!」
今までに聞いたことのないような、陽炎の怒鳴り声が響く。
それと共に、紫色の炎が、総司の目の前で爆発した!
「総司っ!!」
しかし総司は爆発に巻き込まれることなく、地上を蹴り、夜空へ身を躍らせていた。