幕末オオカミ


「総司っ!!」


「行くな小娘!!」



土方副長が、今にも走り出してしまいそうなあたしの体を止める。


でも、このまま何もしないわけにはいかない。


総司は、あたしの言う事を聞こうとしているんだから。



「総司っ、爪を……、
爪を何とかしろぉぉぉぉぉっ!!」



ぴくん、と総司の耳が反応した。


しかし、陽炎の攻撃があたしと彼の間に炎の壁を作る!



「燃えちまえ、人狼!!」



ドオオオオオ!!


波が迫るような勢いで、紫の炎が陽炎の手から放たれる!!


おそらく、陽炎にとっても命をかけた攻撃。


総司は、それに飲み込まれた。



「総司ぃぃぃぃぃっ!!」



負けないで。


あんたは、武士だ。


バケモノなんかじゃない。


それを、証明して。



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