幕末オオカミ
あっさり立ち上がってスタスタ歩き出した総司のあとをつける。
総司は脱ぎ捨てたあたしの着物を回収していた。
「ちょっと」
「何だよ」
「説明して」
「……今度な」
空いている片手であたしの手をとり、総司は歩きだそうとする。
あたしは駄々っ子のように、そこに座り込んだ。
「ねえ、何で?芹沢を斬った時も、同じことした!」
「忘れたな」
「なっ、なんだと!
とにかく今起こったことを、説明しろー!」
両手で総司の手を引っ張り、うんうんうなっていると。
短い舌打ちの音が聞こえた。
そして……
総司の片腕に、人間とは思えない力が入る。
それはいとも簡単に、あたしの体を起き上がらせた。
「離せ」
「や、やだ」
「いいから、離せ。
このままじゃ、説明しない」
へ?と思わず両手を解く。
自由になった総司の腕は、ゆっくりと、あたしの背中へのばされた。