幕末オオカミ


結局、あたしは蔵へ逆戻りすることになった。


頑丈な錠前を買い込み、総司があらゆる入口に蔵の中から鍵をつける。


あたしはそれを手伝った。



「よし、これだけつければ誰も入れねえな」


「あたしが閉めたら、アンタも入れないよ」


「……そうか……。
うん、まぁしょうがねぇよ。お前の安全が第一だ」



そんなに心配しなくても、誰も襲いにきたりしないと思うけど。


総司が思い切り、物好きなだけじゃん?


中から鍵をかけ、ちゃんと閉まるか確認した総司は一人でうなずいていた。


お父さんかよ……。



「何か用があったら、お前から来ればいいな」


「それか、ヒミツの合言葉でも作っておく?」


「おぉ、それは名案」



あたしたちはじゃあ、と合言葉を考える。



「『山』と『海』とか?」


「普通だな……『土方』『鬼畜』でどう?」


「ばれたら殺されるぞ。
じゃあ……『花』は?女はそういうのが好きだろ?」



花?


別に、好きっちゃ好きだけど、そんなに執着ないなぁ……。












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