幕末オオカミ
総司はそのまま距離を縮める。
目の前にせまった口が、少しずつ言葉を落とした。
「本当に、そう思ってるから。
我慢の限界がいつ来るかわからねぇぜ?」
「……物好き……」
「お前もな」
くくっと、総司は喉を鳴らして笑う。
「ねぇ、総司」
「あ?」
「いつから、あたしのこと……」
「……あー……芹沢斬ったくらいから?
あの時の女装はやばかったな。
いや、女に女装ってのもおかしな話だけど」
ああ、女装……。
そういえば、そんなのしたな。
なんだかすごく昔のことみたい。
「何で今まで、何も言ってくれなかったの?」
「何もって?」
「あ、あの時……接吻したでしょ?
それから放置されて、全然意味がわからなかったんだけど」
「ああ……悩ませたか。悪かった」
総司は素直に謝った。