幕末オオカミ
「そうか、わからなかったか」
局長が明らかに落胆した声を出し、斉藤先生は「すみません」と謝った。
あたしもつられて、がっかりしてしまう。
「やはり、そう簡単には見つからねぇか。
ご苦労だったな、斉藤」
土方副長はあまり表情を変えず、斉藤先生を労った。
そう、今回の斉藤先生の任務とは……
芹沢たちが、もののけの力をどうやって身につけたのかを、突き止めること。
高野山のお坊さんたちなら、何か知っているかもしれない。
そう考えた副長の案で、斉藤先生はわざわざそこまで往復してくれたわけだけど……
「高僧たちも何も知らなかったようで、驚いておりました。
まさか自らもののけになる者がいるとは、夢にも思わなかったようです」
斉藤先生は少し疲れたような表情で、そう伝えた。
手がかりどころか、逆に色々質問されて大変だったらしい。
「しかし副長、その方法を見つけて、どうされるおつもりか」
斉藤先生がたずねる。