幕末オオカミ


「そうか、わからなかったか」



局長が明らかに落胆した声を出し、斉藤先生は「すみません」と謝った。


あたしもつられて、がっかりしてしまう。



「やはり、そう簡単には見つからねぇか。
ご苦労だったな、斉藤」



土方副長はあまり表情を変えず、斉藤先生を労った。



そう、今回の斉藤先生の任務とは……


芹沢たちが、もののけの力をどうやって身につけたのかを、突き止めること。


高野山のお坊さんたちなら、何か知っているかもしれない。


そう考えた副長の案で、斉藤先生はわざわざそこまで往復してくれたわけだけど……



「高僧たちも何も知らなかったようで、驚いておりました。

まさか自らもののけになる者がいるとは、夢にも思わなかったようです」



斉藤先生は少し疲れたような表情で、そう伝えた。


手がかりどころか、逆に色々質問されて大変だったらしい。


「しかし副長、その方法を見つけて、どうされるおつもりか」



斉藤先生がたずねる。



< 338 / 490 >

この作品をシェア

pagetop