幕末オオカミ
屯所に帰り、着替えを済ませる。
蔵から出て、顔を洗いに行く途中で、斉藤先生に呼び止められた。
「楓。沖田を知らないか?」
「はい?知りませんけど」
振り向くと、斉藤先生は一瞬目をぱちくりさせた。
「……顔が、違う」
「え?あっ、化粧のせいでしょう。
任務だったんですけど、今日は何もなくて……」
「ああ、そうか。
そうだな、それでか。
やけに女っぽいと思った」
……もともと女なんですけどね。
まあ、袴履いてる女なんてあまりいないでしょうけど。
「……なるほど。
沖田が夢中になるわけだな」
「はっ!?」
「ははは、なんでもない。
副長が探していた。沖田に会ったらそう伝えてくれ」
斉藤先生は珍しく笑いながら、その場を去っていった。